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東京地方裁判所 昭和30年(ワ)3952号 判決

原告(反訴被告) 株式会社信和商会

被告(反訴原告) 理研コランダム株式会社

主文

被告(反訴原告)は原告(反訴被告)に対し金五十一万五千六百九十九円及びこれに対する昭和三十年三月一日以降右完済まで年六分の割合による金員を支払え。

原告(反訴被告)のその余の請求及び被告(反訴原告)の反訴請求を棄却する。

訴訟費用は本訴反訴を通じてこれを五分し、その二を被告(反訴原告)の、その余を原告(反訴被告)の負担とする。

この判決は、原告(反訴被告)が金十五万円の担保を供するときは、第一項に限り仮に執行することができる。

事実

第一、本訴(昭和三〇年(ワ)第二八六四号約束手形金請求事件)

原告(反訴被告)訴訟代理人は、「一、被告(反訴原告。以下単に被告という。)は原告(反訴被告。以下単に原告という。)に対し金二百六十九万七千九十六円五十銭及びこれに対する昭和三十年三月一日以降右完済まで年六分の割合による金員を支払え。二、訴訟費用は被告の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求め、その請求原因として、

「一、被告(旧商号を日本コランダム株式会社といい、昭和二十七年六月二十六日現商号に改めた。)は、訴外大喜産業株式会社を受取人として左記約束手形三通を振り出した。

A、額面金百二十二万七千円、満期昭和二十七年九月四日、支払地、振出地とも東京都中央区、支払場所株式会社三和銀行銀座支店、振出日昭和二十七年六月二十日。(以下単にA約束手形という。)

B、額面金百十九万六千七百七十五円、満期昭和二十七年八月三十一日、支払地東京都千代田区、支払場所株式会社千代田銀行内幸町支店、振出地東京都中央区、振出日昭和二十七年六月二十日。(以下単にB約束手形という。)

C、額面金百三十万五十円、満期昭和二十七年十月九日、支払地、支払場所、振出地ともにB約束手形と同一、振出日昭和二十七年八月八日。(以下単にC約束手形という。)

二、右A、B各約束手形は、受取人訴外大喜産業株式会社から昭和二十七年六月二十五日訴外株式会社海老原和太郎商店(以下単に海老原和太郎商店という。)に裏書譲渡され、同商店は、A約束手形を満期に、B約束手形を満期の翌日に、それぞれ支払場所に呈示したが、いずれもその支払を拒絶された。又、C約束手形は、受取人訴外大喜産業株式会社から白地裏書によつて原告に譲渡され、原告は、これを満期に支払場所に呈示したが、その支払を拒絶された。

三、被告は、昭和二十七年九月初旬から金融事情の窮迫により経営上の蹉跌を来し、一般的支払停止の状態に至つた。しかし被告が我国有数の研磨材界の専門メーカーであるところから、その再建整備が企図された結果、原告及び海老原和太郎商店を含む一般債権者と被告との間に昭和二十七年九月中左記条件による債務分割払契約の締結をみるに至つた。即ち、その条件は、昭和二十八年二月末日を第一回とし、爾後昭和三十年二月末日の第九回に至るまで三ケ月毎にその月の末日に各債権者の債権元本額の一割から一割二分まで(即ち、第一回及び第二回は各一割、第三回から第六回までは各一割一分、第七回から第九回までは各一割二分。)を支払うこと、但し右期限内の利息を免除すること、というにあつた。

四、その後原告は、C約束手形につき被告から金七十八万四千三百五十一円の支払を受け、又海老原和太郎商店は、被告からA約束手形につき昭和二十七年十二月十九日に金十二万千百円、B約束手形につき昭和二十八年二月二十六日に金十二万千二百七十七円五十銭の支払を受けた後、同年八月二十五日原告に対する債務の一部弁済のため、右A、B各約束手形をそれぞれ白地裏書により原告に譲渡した。

五、よつて原告は、右A、B、C各約束手形の所持人として、振出人である被告に対し、右各約束手形金からそれぞれ前述の内入金を控除した残額合計金二百六十九万七千九十六円五十銭及びこれに対する前記分割払契約の最終期限である昭和三十年二月末日の翌日である同年三月一日以降右完済に至るまで商法所定の年六分の割合による遅延損害金の支払を求める」

と述べ、被告の抗弁に対し、「被告主張の抗弁事実中、被告が、その主張のように別紙目録記載の約束手形八通を譲り受け(但しその譲受日時は否認する。)、現にその所持人であることを認め、訴外多田三臣に対し被告主張の約束手形が振り出されたことは不知、その余の事実は否認する。抗弁一の(二)に関しては、右八通の約束手形の振出人である海老原和太郎商店は、訴外株式会社小菱商店(以下単に小菱商店という。)に対し嘗て右約束手形金債務を含む合計金五百九十三万七千四百六十五円の債務を負担していたが、一般的支払停止のやむなきに至つた昭和二十八年一月下旬より後に両者間に締結された和解契約に基いて、海老原和太郎商店は小菱商店に対し金四百九十万千二百十一円の弁済を了し、且つ残債務については、免除を受けたのであつて、両者間の債権債務関係は全部解消されたのである。それにもかかわらず、当時両者の各営業部長が兄弟であつて、取引関係が特に緊密であり、相互に信頼しあつていたため、前記約束手形の返還が実行されずにいたところ、原告が本訴を提起するや、被告は、小菱商店と被告の代表取締役が共に訴外竹内拡充であるため、右の事情を知りながら、既に原因関係の消滅により当時これを所持していた小菱商店においてその振出人である海老原和太郎商店に対し支払を請求する権利のなくなつていた前記約束手形を俄かに譲り受け、これを以て原告主張の約束手形金債権との相殺の意思表示をするに至つたのであつて、その失当たるや論をまたないところである。

抗弁二に関しては、原告を始めとする被告の大口債権者の一員である訴外旭株式会社の多田三臣が、これら債権者の団体の委員長に選ばれ、その資格において被告とその債務の処理につき交渉したことはあるが、右委員長たるものは、多数の債権者が被告と個々的に折衝することは相互にとつて煩瑣なので、交渉の便宜のために暫定的に設けられたにすぎないものであり、かりに多田三臣に宛てて被告主張のような約束手形が振り出されたとしても、もとより被告主張のように、これがために債権者の交替による更改がなされたものではない。各債権者はおのおの自己の手形債権を保有し、被告から第一回の分割払以来個々に支払通知を受け、直接これが弁済を受領しているのであつて、右多田三臣から被告の弁済金の分配を受けた事実はない。のみならず、被告は、その後原告及び海老原和太郎商店からの支払請求に対し、直接の請求権のあることを認め、ただ手許不如意等の理由でこれが支払の猶予を求め、或いは債務の三割減額を要望するなどしてきたのであり、それにもかかわらず、原告がこれに応じなかつたので、他の債権者に対しては弁済をなしながら、原告が本訴において主張する約束手形金債権については、右減額拒否を理由に現在に至るまで履行の遷延を重ねているのである。」と述べた。

被告訴訟代理人は、「原告の請求を棄却する。」との判決を求め、答弁として、

「原告主張の請求原因事実は、すべて認める。しかしながら、被告は、左の理由により現在原告に対しその主張のような債務は負つていない。

一、A、B各約束手形金債権について。

原告はその自陳するところから明らかなように、A、B各約束手形をいずれも期限後裏書によつて取得したものであるから、右各裏書は指名債権の譲渡と同一の効力を有するに過ぎない。ところで、

(一) 被告は、A、B各約束手形の受取人である訴外大喜産業株式会社に対し、原告が右各約束手形を譲り受ける以前である昭和二十七年十月三十一日現在において、右各約束手形金債務を差し引き金四百三十九万三百四十円の債権を有していたのであり、しかも未だにこれが支払を受けていない。従つて被告の右会社に対する右各約束手形金支払義務は、原告が右各約束手形を取得する以前に消滅していたのである。

(二) 更に又、被告は、海老原和太郎商店の振出にかかる小菱商店宛ての別紙目録記載の約束手形八通中三および四以外の六通を小菱商店から白地裏書により、三及び四の二通を小菱商店及び訴外富士銀行の各白地裏書を経て、それぞれ昭和二十八年三月末頃譲り受け、現にその所持人である。かくして被告は、昭和二十八年三月末当時において海老原和太郎商店に対し右約束手形金額合計金二百五十七万五百三円の債権を有していたのであり、これを以て同商店の被告に対するA、B各約束手形金残債権合計金二百十八万千三百九十七円五十銭と相殺をなし得べき状態にあつたのである。尤も右A、B各約束手形金債権については、原告主張のように被告において割賦弁済をすることを認められたため、右日時当時にはその全額につき弁済期が到来していたわけではないが、被告としては期限の利益を放棄し得べきものであつたのである。されば昭和二十八年三月末日現在において前記両債権が相殺適状にあつたものというのに妨げはない。そこで被告は、海老原和太郎商店から前述のようにしてA、B各約束手形の譲渡を受けた原告に対し、その譲渡が指名債権の譲渡と同一の効力を有するにすぎないところから、原告訴訟代理人景山収の出頭した昭和三十年七月十一日の本訴口頭弁論期日において、別紙目録記載の各約束手形金債権と原告の有するA、B各約束手形金残債権とを対当額で相殺する旨の意思表示をしたので、ここに原告の右債権はその全部が消滅に帰したのである。

以上いずれにせよ、原告の被告に対するA、B各約束手形金請求は失当である。

二、C約束手形金債権について。

被告は、原告を含む債権額金五万円以上の大口債権者との間に、被告の債務につき原告主張のような割賦弁済をすること、及びその支払は各債権者に対して個々的にせず、理研コランダム株式会社(被告)債権者委員会代表なる訴外多田三臣に一括してすることし、同人から各債権者にこれを配分することを約したのであり、該約旨に則り、同人に宛てて昭和二十八年二月二十八日を第一回の、同三十年二月二十八日を最終の支払期日とする額面合計金六千五百五十二万六千七百二十四円六十六銭の約束手形九通を振り出した。右債権者委員会なるものは、単なる任意の団体にすぎず、もとより法人ではないから、右契約により、原告を含む前記大口債権者らの被告に対する債権は訴外多田三臣個人の債権に更改され、これら債権者は、その各自の債権につき被告に対する直接の請求権を喪失したものといわなければならない。

以上の次第であるから、原告の被告に対するC約束手形金請求も亦失当である。

と述べ、被告の抗弁に対する原告の主張事実に対し、「抗一弁の(二)の反論として原告の主張するところは著しく事実に反する。即ち小菱商店は、海老原和太郎商店に対し、昭和二十八年一月二十六日現在において、被告が現に所持している前記約束手形八通のそれを含めて、合計金三百四十七万七千七百三円の約束手形金債権及び金三百四十五万千二百五十一円の売掛金債権を、他方海老原和太郎商店は、小菱商店に対し金三百五十七万五千百五十円の売掛金債権を有していた。ところが右同日右約束手形の一部について支払が拒絶されたのを契機として、同日小菱商店は、海老原和太郎商店に対し、右に述べた双方の売掛金債権につき相殺の意思表示をし、且つこの相殺によつて残存した海老原和太郎商店の小菱商店に対する売掛金残債権金十二万三千八百九十九円と、小菱商店の海老原和太郎商店に対する前記約束手形金債権の一部とを相殺する意思表示をなした。更にその後同年三月頃、小菱商店は、海老原和太郎商店から支払われた金八十万円を右約束手形金債権の一部に弁済充当した。従つて昭和二十八年三月末日現在において小菱商店は、海老原和太郎商店に対しなお約束手形金債権を有していたところ、その内別紙目録記載の八通の約束手形金債権二百五十七万五百三円を被告に譲渡したのである。而して、小菱商店と海老原和太郎商店との間に原告の主張するような和解が成立した事実はなく、又両商店の営業部長が兄弟である等の理由によつて、前記約束手形八通の返還がなされなかつたとの原告の主張は、当時海老原和太郎商店は、既に多額の債務を負担しており、小菱商店としても多大の損害を受けつつあつたのであるから、海老原和太郎商店に対する債権の処理を一営業部長の裁断に委ねるようなことはあり得べくもなく、その処理については取締役会において決定したものであつて、約束手形の返還もしないで債権債務関係を決済するような粗略な取扱がなされるようなことは絶対に生じ得ない状勢にあつたことからみても、所詮事実を歪曲するものに外ならない。次に被告は、当時小菱商店に対する債務約四百万円を含めて総額約六千五百万円の債務を負担していたところ、債権者の一員たる同商店は、その総務部長訴外大木武を被告の取締役に就任せしめてその業務の監督に当らせたのであるが、前述のとおり小菱商店が海老原和太郎商店に対し、約束手形金債権を有しながら、海老原和太郎商店の経営不振のためその支払を受けることができない事態にある一方、被告は海老原和太郎商店に対し原告主張のA、B各約束手形による手形金債務を負担していることが判明した。そこで小菱商店と被告との間で、同商店は、被告に対する前記約四百万円の債権を被告が他の債権者に優先して弁済することを条件として前記約束手形八通を被告に譲渡する、但し被告は、将来その経営状態が回復したときは、右約束手形の譲渡代金の全部もしくは一部を同商店に支払うこと、を約定し、かくして被告は前述したとおり、右約束手形八通を譲り受けたのである。被告は右約旨に基き、爾来昭和二十八年九月までに被告の小菱商店に対する全債務を他の債権者に優先して弁済したのである。叙上によつても又訴外竹内拡充は同商店の代表取締役ではあつたが、被告の代表取締役ではなかつたことからいつても、被告が徒らに原告の本訴請求を免れるために、小菱商店から前記約束手形を譲り受けたという原告の主張は、単なる推測に基くところの、事実に背馳する非難というより外はない。」と述べた。

第二、反訴(昭和三〇年(ワ)第三九五二号反訴請求事件)

被告訴訟代理人は、「一、海老原和太郎商店から原告に対し昭和二十八年八月二十五日なされたA、B各約束手形の裏書による譲渡(但し裏書の日附はA約束手形については昭和二十七年七月一日B約束手形については同年六月二十四日)を取り消す。二、原告は被告に対しA、B各約束手形を引き渡せ。三、訴訟費用は原告の負担とする。」との判決並びに請求の趣旨第二項につき仮執行の宣言を求め、その請求原因として、

「一、本訴において陳述したとおり、被告は海老原和太郎商店振出にかかる別紙目録記載の約束手形八通を昭和二十八年三月末頃譲り受け、現にその所持人であるところ、原告は被告が訴外大喜産業株式会社に宛てて振り出したA、B各約束手形を、同会社から裏書により取得した海老原和太郎商店から昭和二十八年八月二十五日白地裏書により譲り受け、現にこれを所持している。

二、しかしながら、海老原和太郎商店は右手形裏書当時原被告及びその他の者に対し総額約一億二千万円の債務を負担して居り同商店の一般財産を以てしては、右債務を皆済することが不可能な状態にあつたのであるから、右手形の裏書譲渡行為は海老原和太郎商店において他の債権者を害することを知りつつしたものと断ずべきである。

三、よつて、被告は海老原和太郎商店に対する前記の如き債権者として、海老原和太郎商店から原告に対してなされた右約束手形の裏書による譲渡行為を取り消し、且つ該約束手形の引渡を求めるものである。」

と述べた。

原告訴訟代理人は、「被告の反訴請求を棄却する。」との判決を求め、答弁として、「反訴請求原因事実中、被告が別紙目録記載の約束手形八通を原告主張のような経緯で譲り受け、現にその所持人であること、原告がA、B各約束手形を現に所持していること及び昭和二十八年八月二十五日当時海老原和太郎商店が被告主張のような金額の債務を負担し、その一般財産を以てしてはその皆済が不能の状態にあつたことを認め、その余を否認する。

一、本訴における被告の抗弁一の(二)に対する反駁として原告の主張したとおり、被告は別紙目録記載の約束手形八通を本訴提起後小菱商店から譲り受けたのであるが、その当時既にその振出人である海老原和太郎商店と所持人である小菱商店との間において右約束手形に基く債権債務関係は決済されていたのに、被告は、たまたま右約束手形が海老原和太郎商店に返還されずに小菱商店の手許にあつたのを奇貨として、右の事情を知りながら敢てこれを譲り受けたものであつて、海老原和太郎商店に対して被告は、右約束手形に基き権利を主張し得ないのである。

二、次に、原告のA、B各約束手形を海老原和太郎商店から譲り受けたのは、次のような経緯によるものであるから、これによつて何ら同商店の一般債権者を害するものでないことは明らかである。即ち、海老原和太郎商店は一般的繊維製品の販売業を営んでいたが、昭和二十八年一月下旬その製品の暴落によつて金融が不円滑となり、遂に手形の不渡を出し、債権者に対する一般的支払停止の止むなきに至つた。その債務総額は約一億二千万円であつた。そこで海老原和太郎商店は右事態に対処して直ちに債権者会議を招集し、支払停止の原因を公開したところ、債権者会議はその議決により小委員会を設け、且つこれに同商店の計理状態の調査並びに将来の方針の検討を任せることとした。同委員会は同商店の財産及び諸帳簿類印鑑等一切を直接管理し、会計士、弁護士らを顧問として調査検討をした。この結果に基き、同年五月二十五日同商店と原告その他後述の三者を除く一般債権者との間に和解契約が締結された。その要旨は、(1) 海老原和太郎商店は右契約と同時に各債権者に対しその債権額の二割二分を、昭和二十八年十二月二十五日までに同じく三分を、更に同二十九年から毎年その十二月十日までに七回に分割して同じく二割五分を各支払うこと、(2) 同商店が右の支払を履行した場合は各債権者において爾余の債権を免除すること、というにあつた。而して同じく同商店の債権者であつた小菱商店、原告及び訴外広田縫工株式会社の債権の処理については、前記債権者会議において右の和解契約の例によらず、同商店と別に個々的に和解契約を締結することを容認されたので、原告はこの議決に従い、同商店に対する債権の一部弁済として同商店からA、B各約束手形を譲り受ける契約を締結し、該契約に基き本訴において原告が主張したとおり同商店から右約束手形二通の白地裏書を受けたのである。」と述べた。

第三、証拠

原告訴訟代理人は、甲第一、第二号証の各一、二第三号証、第四号証の一、二、第五号証から第十一号証まで、第十二号証の一から三まで、第十三号証の一、二を提出し、証人橋田精治、田中謙伍、一瀬光男、平田泰三郎(第一回)、景山収の各証言を援用し、乙第一号証から第八号証までの各表面の成立を認め、裏面の成立は不知、第九及び第十号証の成立を認め、第十一号証の一から三までの成立は不知と答えた。

被告訴訟代理人は、乙第一号証から第十号証まで、第十一号証の一から三までを提出し、証人大木武(第一、二回)、島村和夫、石川知治、川名治郎、平田泰三郎(第二回)の各証言を援用し、甲第一、第二号証の各一、二、第三号証及び第四号証の一、二の成立を認め、爾余の甲号各証(但し第八及び第九号証を除く。)の成立は不知と答え、第八及び第九号証の成立の真否については認否をしなかつた。

理由

第一、原告の本訴請求について。

一、昭和二十七年六月二十六日現在の商号に改めるまで日本コランダム株式会社と称した被告が訴外大喜産業株式会社に宛てて原告主張のA、B、Cの約束手形三通を振り出したこと、右A、Bの各約束手形が昭和二十七年六月二十五日訴外株式会社大喜産業株式会社から訴外海老原和太郎商店に裏書され、更に昭和二十八年八月二十五日海老原和太郎商店から原告に白地裏書されたこと、右Cの約束手形が満期前に訴外大喜産業株式会社から原告に白地裏書されたこと及び原告が現在右三通の約束手形を所持していることは、当事者間に争いがない。

二、そこで以下被告の抗弁につき順次検討を加えることとする。

(一)  A、B各約束手形金請求に関して。

前述のとおり原告が海老原和太郎商店からA、B各約束手形の裏書譲渡を受けたのは昭和二十八年八月二十五日であるから、右裏書はいずれも支払拒絶証書作成期間経過後のものであることが知られ、従つて指名債権の譲渡と同一の効力を有するにすぎないものであり、被告は右約束手形の裏書人である訴外大喜産業株式会社及び海老原和太郎商店に対抗し得べき一切の事由を以て、原告に対しその善意悪意を問わず対抗し得るわけである。そこで、

(1)  先ず被告と訴外大喜産業株式会社との関係における抗弁事由の有無について考える。

証人島村和夫の証言中には、被告が昭和二十七年九月現在において訴外大喜産業株式会社に対し、それまでの取引により、約四百五十万円の債権を差引計算の結果有しており、その旨を右会社にも通知し、又被告が支払を停止した後被告に対する債権者の集会が開かれた席上において配布した資料中にもその旨を記載して、債権者らに報告したことがある旨述べているものがあるけれども、右の証言にかかる約四百五十万円の債権の算出が如何にしてなされたか、特にA、B各約束手形に基く被告の訴外大喜産業株式会社に対する債務がどのようにして消滅せしめられたかという具体的事実については右証言は何ら明らかにするところがなく、他にこの点の立証に資し得る証拠はない。従つて被告のこの点に関する抗弁は採用し得ない。

(2)  次に被告と海老原和太郎商店との関係における抗弁事由の有無について考える。

(イ) 一般に、債権の譲渡がなされた場合、債務者は、債権譲渡の通知前(期限後裏書による約束手形の譲渡の場合はその譲渡前。以下同じ。)に自己の反対債権が被譲渡債権と相殺適状にあつた限り、直接譲受人に対する意思表示により相殺をなしうるのである。

そうして相対立する債権が相殺適状にあるというがためには、自働債権が弁済期にあることを要するのはもちろんであるが、受働債権については、その債務者において期限の利益を放棄し得る場合である限り必ずしも既に弁済期にあることも、又相殺の意思表示前に予め期限の利益放棄の意思表示がなされることも必要ではないのである。これを本件について考える。

(ロ) 先ず自働債権についてみるに、被告が海老原和太郎商店から小菱商店に宛てて振り出された別紙目録記載の約束手形八通を、被告主張のような裏書を経て譲り受け、現にその所持人であることは当事者間に争がないところ、被告が右各約束手形を譲り受けた日時は、後述するとおり昭和二十八年三月末頃遅くも同年四月始頃であるから、その当時においては右各約束手形の振出人としての海老原和太郎商店の債務についてはいずれも履行期の到来していたことが明らかである。

原告は、右日時より以前に海老原和太郎商店と小菱商店との間に成立した和解契約に基き、海老原和太郎商店は、前記約束手形八通に基く小菱商店に対する債務を含む海老原和太郎商店の小菱商店に対する金五百九十三万七千四百六十五円につき内金四百九十万千二百十一円を弁済し、残債務の免除を受けた旨主張し、証人景山収の証言中には、同人が昭和二十八年一月中支払を停止した海老原和太郎商店からの委任により同商店の債権債務の整理に従事しているうち、海老原和太郎商店と小菱商店とは両者の営業部長が兄弟であるという特殊な関係にあつたところから、海老原和太郎商店の小菱商店に対する前記約束手形八通に基くものを含む全債務につき、同年三月頃両者の話合により、その七割に相当する金額を支払つて残債務が免除されたということを聞いたことがあるとの趣旨のものがあるけれども、後掲各証言に照らすときは、右証人が聞知したという叙上のような事実は実際にはなかつたことが認められ、他に原告の前示主張事実を認めるに足りる証拠はない。かえつて証人一瀬光男、橋田精治、大木武(第一、二回)、川名治郎、石川知治及び景山収の各証言(但し、後掲措信しない部分を除く。)を綜合すれば、海老原和太郎商店は、繊維製品の暴落等による事業不振のため総額金一億数千万円に及ぶ債務を負つたまま、昭和二十八年一月下旬支払停止の状態に陥り、その頃善後措置を講するために債権者会議が開かれたのであるが、小菱商店は当時所持していた海老原和太郎商店の振出にかかる前記八通の約束手形の支払を受けることができない反面、被告に対しては約金四百万円の債権を有していたところ、一方被告もこれより先昭和二十七年九月初旬支払を停止したため、その債権者会議により債権債務を整理して被告の再建が図られていたところから、小菱商店は被告に対する自らの債権の回収を確保するため、被告において債務弁済の資金を調達し得た場合には他の債権者に優先して小菱商店に弁済をなすこと及び被告が再起の暁には右約束手形金額についても相応の支払をなすこととの条件で、被告に対し昭和二十八年三月末か同年四月始頃右約束手形八通を白地裏書により譲渡するに至つたものであることが認められ、前掲証言中右認定に抵触するものは措信できない。

(ハ) 次に受働債権についていえば、海老原和太郎商店は被告からA約束手形につき昭和二十七年十二月十九日に内金十二万千百円を、B約束手形につき昭和二十八年二月二十六日に内金十二万千二百七十七円五十銭の支払を受けた後に右各約束手形を原告に譲渡したことが当事者間に争いがないので、A約束手形については残金百十万五千九百円、B約束手形については残金百七万五千四百九十七円五十銭が未払であつたが、他方当事者間に争いのないところによると、昭和二十七年九月中海老原和太郎商店及び原告を含む被告の債権者らと被告との間に成立した債務分割払契約により、被告は、これら債権者に対し、第一回分の弁済として各自の債権額の一割に相当する金額を昭和二十八年二月末日に、第二回分の弁済として前同額を同年五月末日に、第三回分の弁済として債権額の一割一分に相当する金額を同年八月末日に、第四回分の弁済として前同額を同年十一月末日に、第五回分の弁済として前同額を同二十九年二月末日に、第六回分の弁済として前同額を同年五月末日に、第七回分の弁済として債権額の一割二分に相当する金額を同年八月末日に、第八回分の弁済として前同額を同年十一月末日に、第九回分の弁済として前同額を同三十年二月末日にそれぞれ支払う旨約定されていたのであり、前述のように被告から海老原和太郎商店に支払われたA約束手形金の内金十二万千百円は同手形金額の一割弱に、B約束手形金の内金十二万千二百七十七円五十銭は同手形金額の一割強二割弱に相当することが計算上明らかである。してみると原告が海老原和太郎商店からA、B各約束手形の譲渡を受けた日時であることが当事者間に争いのない昭和二十八年八月二十五日当時においては、A、Bの右各約束手形金に対する上述の第二回分までの弁済予定金額から前示内入弁済金を控除した金額について既に弁済期が到来し、しかも前記債務分割払契約により被告は約定の分割弁済期限の経過するまでの間の利息を免除されていたことが当事者間に争いのないところからして、被告はA、Bの各約束手形に基く残債務についてはいつでも期限の利益を放棄し得べかりしものであつたというべきである。

(ニ) してみれば被告は、前記受働債権即ちA、B各約束手形に基く残債権が海老原和太郎商店から原告に譲渡される当時においては、当時既に履行期の到来していた前記自働債権をもつて右受働債権中弁済期の到来した分に対してはもとより、弁済期未到来の分に対しても期限の利益を放棄することによつていつでも相殺をなし得る状態にあつたわけである。とすれば、被告は、昭和三十年七月十一月の本訴口頭弁論期日において原告訴訟代理人に対してした相殺を以て受働債権の譲受人である原告に対抗し得るものといわなければならない。

(ホ) ところで、被告の主張する自働債権の総額は金二百五十七万五百三円であり、同じく受働債権の総額である金二百十八万千三百九十七円五十銭を超過することが明らがであり、しかも被告が右相殺について自働債権に供したのはその元本債権のみであり、かつ、受働債権については、前述のとおり各分割弁済期限までの利息を免除されていたのであるところ、相殺適状を生じた当時既に右期限を経過していた割賦金についての利息を加算しても、受働債権の額は自働債権のそれを越えることがなかつたことは明らかであるから、受働債権は右相殺により全額消滅し、原告はA、B各約束手形に基く被告の債務について効力を生じた右相殺の対抗を受け、被告に対してもはやその弁済を請求し得ないものといわなければならない。

なお、民事訴訟法第百九十九条第二項によると、相殺のため主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺を以て対抗した額につき既判力を有するものと規定されているので、裁判上の相殺については相殺を以て対抗した額を確定するため、相殺適状を生じた時期及びその時における双方の債権額を判定し、もし両者の債権が二箇以上である場合には、いずれの自働債権がいずれの受働債権と相殺せられたかをも説示しなければならない。

ところで本件における被告の相殺の抗弁に関していえば、自働債権及び受働債権がともに複数で、しかも自働債権の総金額が受働債権のそれを超過することは叙上のとおりである。しかしながら本件における自働債権は、原告には無関係な被告と海老原和太郎商店との間のもとであり、この債権が被告の相殺によつてどの部分について消滅し、どの部分につき残存するかということは原告の利害には何のかかわりもないわけである。しかも右自働債権の債務者である海老原和太郎商店は、本判決については民事訴訟法第二百一条の規定により既判力の及ぶべきものとされているいずれの者にも該当せず、又原告が海老原和太郎商店の被告に対して負担する前記約束手形八通に基く債務につき訴訟追行権を有するものとも考えられないのであるから、被告が本訴において主張する相殺の抗弁が認容されて自働債権の一部が消滅したことが確定されたとしても、それは判決の既判力に基くものではなく、相殺に関する実体法の定める効果として発生するものに外ならず、このことは相殺の意思表示が裁判外において行われた場合のことを考えれば容易に理解されるところである。換言すれば、被告は、本訴における相殺の主張が採用されると否とにかかわらず、爾後において海老原和太郎商店に対し自働債権につき改めて履行の請求をすることを妨げられるものではなく、この判決は右の点につき被告に対し毫も既判力を生ずるものではなく、専ら実体法的に相殺の効果の有無を判断して事を決すべきものである。従つて本件において被告の相殺によりその自働債権中いずれが消滅したかについて論及する必要はないのである。叙上論じたところに反する昭和九年十月十二日の大審院判決(民集十三巻一九八五頁)の判示には賛成し難い。

ともかくも以上の次第であるから、被告の相殺の抗弁は理由があるものというべきである。

(二)  C約束手形金請求に関して。

被告が昭和二十七年九月初旬頃金融事情の窮迫から経営上の蹉跌を来し、一般的支払停止の状態に陥つたところ、その頃原告を含む被告の債権者の集会が開かれ大口債権者の一員である訴外旭株式会社の多田三臣が債権者の団体の委員長に選ばれ、被告との折衝に当つたことは当事者間に争いがないのであるが、右債権者らの被告に対する債権につき債権者を多田三臣に交替することによる更改がなされたとする被告の抗弁事実は、本件にあらわれたすべての証拠を以てしても、遂にこれを認めることができない。証人島村和夫の証言中には、昭和二十七年九月上旬頃前記債権者集会が開かれたとき、被告は当時負担していた総額約六千五百万円の債務を分割して支払うために多田三臣に宛てて約束手形を振り出したとの趣旨のものがあるが、かりに右証言どおりの事実があつたとしても、これを以て直ちに被告の主張するような更改がなされたことを認める資料となし得ないことは論をまたないところである。のみならず証人田中謙伍の証言によれば、前記委員長としての多田三臣の職務は小委員会によつて決議された事項をまとめて債権者に報告もしくは連絡することにあつて、同人が被告から直接一括して債権の支払を受けて個々の債権者にこれを配分したようなことは一度もないことが認められ、又成立に争いのない甲第四号証の一、二、証人田中謙伍、一瀬光男の各証言によつて成立の真正を認め得べき甲第五号証及び第八、第九号証並びに右各証言によれば、被告は支払停止後債権者の一員である海老原和太郎商店と債務の分割弁済に関する和解契約を締結し、第一回の割賦金を支払い、第二回の割賦金二十四万二千三百七十七円については昭和二十八年五月十六日付書面により海老原和太郎商店に受領の催告をしたが、その頃同商店に対する債権者の訴外富永株式会社等から被告に対しその支払を暫らく見合わせられたいとの申出があつたので、これが支払を中止したことが認められるところから見ても、被告の前記主張の失当であることが明らかである。

叙上の次第であるから、被告の右抗弁は排斥を免れない。

三、ところで原告がC約束手形を満期に支払場所に呈示してその支払を求めたけれどもこれを拒絶されたことは当事者間に争いがない。

四、さすれば被告は、原告に対し、C約束手形金のうち被告から原告に支払われたことにつき当事者間に争いのない金七十八万四千三百五十一円の残額に当る金五十一万五千六百九十九円及びこれに対する昭和三十年三月一日(当事者間に争いのない原告と被告との間に成立した債務分割払契約において定められた最終弁済期である同年二月末日の翌日に当る)以降完済まで商法所定の年六分の割合による遅延損害金を支払う義務があるものというべきである。

五、叙上のとおりであるので原告の本訴請求は、前段に判示した範囲において理由があるのでこれを認容すべきであるが、その余は失当として棄却すべきである。

第二、被告の反訴請求について。

一、被告が反訴請求の原因として主張する事実の要旨は、海老原和太郎商店の原告に対するA、B各約束手形の裏書が詐害行為として取り消されるべきものであるというにあるところ、詐害行為取消制度は、債権者を害することを知つてした債務者の法律行為を取り消して、債務者の財産状態を当該法律行為のなされる以前の原状に復することにより、債権者に対してその債権につき正当な弁済を受けることを得させるための一般担保を確保しようとすることを目的とするものであるが、被告が本件において詐害行為として取り消されるべきものと主張する裏書によつて海老原和太郎商店から原告に譲渡されたA、B各約束手形については、先に本訴において判断したとおり、被告のした相殺によつて海老原和太郎商店はその請求権を失つたのであるから、右各約束手形についてなされた海老原和太郎商店の裏書行為を詐害行為に当るものとして取り消してみても、海老原和太郎商店の右各約束手形に基く債権が復活する余地は全くない。

二、のみならず海老原和太郎商店から原告に対するA、B各約束手形の裏書は海老原和太郎商店の債権者を害するものとは到底認められない。左にその理由を説明する。

証人一瀬光男、景山収及び平田泰次郎(第二回)の各証言を綜合すれば、原告は海老原和太郎商店に対し数千万円に上る債権を有し、同商店からその担保として提供されていた同商店の所有にかかる土地家屋倉庫等の譲渡を受け、両者の債権債務を清算したけれども、昭和二十八年八月当時において尚相当額の債権が残存し、その額はA、B各約束手形の金額を合計したものを越えていたことが認められ、証人田中謙伍及び一瀬光男の各証言によつて成立の真正を認め得べき甲第五、第八及び第九号証に、右各証人及び証人橋田精治、平田泰三郎(第一、二回)の各証言をあわせて考えると、前述のように(第一、二、(2) (ハ)参照)被告は、昭和二十七年九月中成立した債務分割払契約に基き海老原和太郎商店に対し、当時同商店の所持していたA、B各約束手形に基く同商店に対する債務につき約旨に従つた第一回分の割賦金を支払い第二回分の割賦金二十四万二千三百七十七円については同二十八年五月二十八日から同月三十日の間にその支払をする旨の通知を発したのであるが、訴外江商株式会社及び富永株式会社からその支払を停止するようにとの申し入れがあつたため、この両会社の諒解を得られるまで支払を延期する旨通告したので海老原商店は右両会社と交渉し、訴外江商株式会社からは諒解を得たものの、訴外富永株式会社の諒解を得られなかつたため前記約束手形二通を原告に、もし被告からその支払を受けられなかつた場合には、海老原和太郎商店においてその損害につき担保責任を負担する旨の約定の下に譲渡したことを認め得るのであつて、右各認定を覆すに足りる証拠はない。

以上認定にかかる事実に徴すれば、海老原和太郎商店が原告に対しA、B各約束手形を譲渡したのは、同商店が当時原告に対して負担していた債務の弁済のためにしたもの(第一、二、(一)、(2) 、(ロ)において判示したとおり海老原和太郎商店がこれより先既に昭和二十八年一月下旬支払を停止していたことからみて、右約束手形の譲渡によつて同商店の原告に対する債務中右約束手形金額に相当するものが消滅したものとは解されない。)とみるべく、そのしかる以上は原告が右約束手形金を他の手形債務者から取り立てるに応じて海老原商店の原告に対する前記債務はその金額分だけ消滅すべかりしものであつたのであり、しかもその間に海老原和太郎商店と原告とが相謀つて他の債権者を害しようとするの意思は全く存しなかつたことを知り得るのである。果してそうであるとすれば、右約束手形の譲渡を目して詐害行為と断ずることは到底できないのである。

三、叙上の次第であつて被告の反訴請求は失当として棄却すべきである。

第三、結論

よつて訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条及び第九十二条を、仮執行の宣言につき同法第百九十六条を各適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 桑原正憲 吉江清景 高野耕一)

目録

一、額面金三十八万六千九百七十七円

支払期日 昭和二十八年二月十四日

振出日 昭和二十七年十二月九日

二、額面金三十万六円

支払期日 昭和二十八年二月十八日

振出日 昭和二十七年十二月二十日

三、額面金七十五万六千円

支払期日 昭和二十八年三月十五日

振出日 同年一月十三日

四、額面金八万六千四百円

支払期日 昭和二十八年三月十五日

振出日 同年一月十三日

五、額面金二十二万四千四百円

支払期日 昭和二十八年三月十九日

振出日 同年一月十九日

六、額面金十五万九千百二十円

支払期日 昭和二十八年三月十九日

振出日 同年一月二十日

七、額面金四十三万五千六百円

支払期日 昭和二十八年三月二十三日

振出日 同年一月二十二日

以上各約束手形の支払地、振出地は共に東京都中央区、支払場所は株式会社第一銀行堀留支店。

八、額面金二十二万二千円、支払期日昭和二十八年二月二十六日、振出日昭和二十七年十二月二十九日、支払地、振出地共に東京都中央区、支払場所株式会社第一銀行八重州口支店

以上全部の約束手形の振出人は海老原和太郎商店、受取人及び裏書人は小菱商店(但し、三及び四の各約束手形のみは更に裏書人として株式会社富士銀行が加わる。)

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